蟷螂(かまきり)


ある昼過ぎのこと、
部屋の窓の網戸に一匹の蟷螂が迷い込んでいた。
それがまるで、細かく痙攣する神経質な影絵芝居に見えたのは、
外がとても明るすぎるせいだろう。

陽は白く鮮やかにスパークして、
体の奥へ、内蔵へ、血管へ、
侵入し、集まって、炸裂する。
沸騰する温度は、せわしなく変化し続けている。

水が溜まったようにお腹を膨らませた蟷螂が、
何か不思議なものを見つけたように首を傾げてこちら側を見つめている。
真っ黒い影なのにこうもはっきりとその表情が見えてしまうのは、
きっと太陽が死にかけているせいだろう。

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