巨大ホテルの廃墟の前で


巨大ホテルの廃墟の前で
波の音を聞きながら
砂と貝殻の感触を
足の裏で感じていた


浜の隅の大きな岩で
一体の観音像を見つけた
風化して所々崩れかけた仏像を
巨大ホテルは静かに見下ろしていた


無数の窓から感じた
無数の見えない眼と気配
それは白い浜辺に注がれて
未だ絶えることはない


静かに砂を踏みしめながら
崩れかけの天井を見た時
確かに感じた誰かの声
けれどもその姿はどこにも見えない

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